遊佐地産地消エネルギー協議会は、2023年7月19日、遊佐町役場にて設立総会を開催しました。当協議会は、下記の設立趣意書にもとづき、取り組みを進めてまいります。
設立趣意書
遊佐町には広大な水田とそこに降り注ぐ太陽の恵み、そして鳥海山、日本海と素晴らしい自然と四季があります。私たちはこの豊かな自然を誇り、その恩恵を受けながら生活を送っています。私たちの誰もが、この愛する「まち」を次の世代に残したいと考えています。
しかし、日本の多くの地方自治体と同様に、遊佐町も急速な少子化と高齢化が進んでおり、将来的に生産活動や事業継承、地区・集落での住民活動、福祉サービス等様々な面での影響が考えられ、「まち」の存続も危機的な状況となることが課題となっています。
また、地球温暖化といった地球規模の問題も深刻化しており、少子化や高齢化といった地域の課題のみならず、脱炭素社会の実現といった中長期かつマクロな視点の課題の解決との両立が求められる難しい時代が訪れています。
一方で、これまで私たちは「オール遊佐の英知(町民力)を結集」のスローガンを体現するように、様々な人々や団体との交流や提携を通じて、農や食、福祉や暮らし、環境やエネルギーの問題等を共に協議し、まちづくりを進めてきた歴史をもっています。
それらの取り組みは、遊佐町に関わり生きるプレーヤーとして参画する多くの意思ある人々や、組織・団体によって、大人も子供も性別、そして「地域」の隔たりもなく進められてきました。
それゆえ、一般的な「都市―農村交流」「生産者と消費者団体の提携」「支援する・支援される」の関係にとどまらない、多様な関わりによる成果が生み出されてきたと考えます。
これらを踏まえて、私たちは「まち」の存続という課題の解決の1つの方法論として、「脱炭素社会(カーボンニュートラル)の実現 × 再生可能エネルギーの地産地消」というアプローチを考えました。世界、そして日本は今、2050年に向けて脱炭素に向かっていますが、この「脱炭素」への取り組みは「地域課題の解決」にもつながるからです。
「遊佐町で使うエネルギーは、遊佐町でクリーンに生産し、遊佐町で効果的に使う」
たったこれだけのことを実現するだけで、遊佐町の「外がわ」に流出していたエネルギーへの対価、つまり「地域の所得」を、遊佐町の「内がわ」にとどめることができます。そして、「内がわ」にとどめた私たちの所得を、まちの課題の解決や、農業・産業振興(投資)、高齢者福祉や子育ての支援等、様々なかたちで循環させることが可能です。
さらに、この循環は再生可能エネルギーによってもたらされることから、地域の脱炭素化も推進していきます。このような再生可能エネルギーによる地域循環を実現させるための推進母体として、公民連携・町民参加型の「脱炭素のまちづくり会社」の設立に思い至り、その準備段階として本協議会の立ち上げたとなった次第です。
基幹産業である農業をしっかり守りつつ、さらに「再生可能エネルギー」という新たな資源を「共同で開発」しながら、地域に効果的な循環を生み出す「しくみ」づくりをおこなっていきたいと考えています。
例えば、町の施設を再生可能エネルギーの利用に転換する、一般家庭や企業の自家消費用ソーラーと蓄電池の設置を推進するといった従来型の取り組みに加えて、農地や有休地に営農ソーラー等発電施設を設置し、農業施設や公共施設、民間事業所へエネルギー供給を実現するモデル等、町内に存在する再生可能エネルギーを町内全体に波及させていくことも考えています。
再生可能エネルギーの恩恵は、遊佐の豊かな自然同様、しっかりと町民や地元に還元されるべきであり、還元なき再エネ開発や地域住民の合意がない乱開発を防ぐことも重要であると考えています。
さらに、EV 自動車の導入やその充電ステーションの開発をはじめとする運輸部門における脱炭素化や、一般家庭における省エネ化の推進、農業の取り組みや森林整備による遊佐の条件を生かした温室効果ガスの吸収、低減対策といったことを具体的なプランに起こし実現していくために、脱炭素関連の各種の補助・助成などの制度利用も効果的・積極的に進めていきたいと考えます。
令和5年5月31日、遊佐町は「ゼロカーボンシティ宣言」を行い、2050年カーボンニュートラルを目指すことを表明しました。私たちの取り組みが、遊佐町のそして世界の目標であるカーボンニュートラルの一助となるよう、また、この遊佐町の持続可能は発展につながるよう、皆様と共に邁進いたします。
令和5年7月19日 遊佐地産地消エネルギー協議会